運営元:弁護士法人早河弘毅法律事務所(愛知県弁護士会所属)


トレントと違法アップロードの関係について弁護士が説明。

重要なポイント

トレントの仕組みについて

まず、ここから押さえておきましょう

 トレントを利用している方の中には、トレントの仕組みをだいたい理解している方と、「タダでAVが手に入るソフト」くらいにしか思っていない方がいます。

 この記事は後者の方に向けて書きます。この記事を読めば「ダウンロードが終わったらすぐに消していたのになぜ意見照会書が届いたのか」などの疑問も解決すると思います。

 トレントは、P2P技術を利用したファイル共有ソフトです。「bittorrent」「qtorrent」などのクライアントが存在します。

 しかしながら、いずれも基本的な仕組みは同じです。

 トレントは、ファイルをとても細かいピースと呼ばれる欠片に分けて、トレントに参加しているパソコン同士でファイルをやり取りします。

 この時、トレントのやり取りに参加しているパソコンを「ピア」と呼ぶことがあります。

 ファイルをやり取りするためには、「ファイルの完成品」を持っているピアが参加していなければなりません。この、完成品を持っているピアを「シーダー」といいます。シーダーからファイルを受け取るピアを「リーチャー」といいます。

 余談ですが、この「リーチャー」は蛭という意味だそうです。ファイルを吸う存在ですね。

基礎を押さえておきましょう

違法アップロードについて

責任と対処法

 ピースという細かいファイルを受け取ったリーチャーは、ファイルが未完成でも、数パーセント手元にあれば、他のリーチャーに配布をしてしまいます。

 トレントは、適法なファイルをやり取りするという前提で設計されており、IPアドレスは剥き出しでやり取りをしております。

 トレントは、ファイルを共有するという設計思想から、基本的には、自動でアップロードをする仕組みになっております。そのため、違法アップロードをした記憶はない方が大半です。

 ここでは、その対処法をお話しします。

 脅すような内容になってしまいましたが、まずすべきは、「作品」「タイムスタンプ」の確認です。

 タイムスタンプとは、意見照会書上に、あなたが違法アップロードをした時刻として記載されている時刻です。

 気を付けていただきたいのですが、「申立書が付属している場合における、申立書の動画目録一覧にある大量のIPアドレス」は、すべてがあなたのものというわけではありませんので、ご注意ください。

 意見照会書上に書いてある、タイムスタンプの時刻の曜日を確認しましょう。その時間帯にパソコンを動かしていたか、カレンダーで確認をしてください。

 多くの場合、半年~2年程度前のタイムスタンプですので、思い出すのは難しいかもしれません。その場合は、弁護士にぜひご相談ください。

 作品やタイムスタンプ時刻に見覚えがない場合、パソコンを確認しましょう。作品が残っているかもしれません。

 物証があれば、思い出すことはできますが、それが難しい場合は、やはり当該違法アップロードを行った確証はないのですから、その旨を記載して、不同意回答を作成します。

重要ポイント

一人で悩まず使えるものは使う

大丈夫。あなただけではありません。

 違法アップロードを行っているという前提でお話は進みますので、民事上・刑事上の責任を理解し、これに対処できるようにしておく必要はあります。

 一番間違いがないのは、弁護士の法律相談を利用していただくことです。掲示板の議論は、やや高度でついていけないという声もありましたので、分かりやすく説明させていただきます。

 他方で、弁護士を利用する場合の注意点もあります。記事や掲示板を自力で活用できる方は、その方法の利点もあります。

 弁護士の法律相談を利用する場合は、必ず複数社ご利用されることを強くお勧めします。

 なぜなら、弁護士によって方針もスタンスも全く異なるからです。とりわけ、当職は、一社目で早期示談をしてしまった方からのセカンドオピニオンを多く頂戴しておりますので、早期示談の場合には、あらかじめ慎重な検討を要します。

 以上、トレントと違法アップロードの関係についてご説明をさせていただきました。