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カテゴリー: 大分ケーブルテレコム株式会社

  • トレントと違法アップロードの関係について弁護士が説明。

    トレントと違法アップロードの関係について弁護士が説明。

    重要なポイント

    トレントの仕組みについて

    まず、ここから押さえておきましょう

     トレントを利用している方の中には、トレントの仕組みをだいたい理解している方と、「タダでAVが手に入るソフト」くらいにしか思っていない方がいます。

     この記事は後者の方に向けて書きます。この記事を読めば「ダウンロードが終わったらすぐに消していたのになぜ意見照会書が届いたのか」などの疑問も解決すると思います。

     トレントは、P2P技術を利用したファイル共有ソフトです。「bittorrent」「qtorrent」などのクライアントが存在します。

     しかしながら、いずれも基本的な仕組みは同じです。

     トレントは、ファイルをとても細かいピースと呼ばれる欠片に分けて、トレントに参加しているパソコン同士でファイルをやり取りします。

     この時、トレントのやり取りに参加しているパソコンを「ピア」と呼ぶことがあります。

     ファイルをやり取りするためには、「ファイルの完成品」を持っているピアが参加していなければなりません。この、完成品を持っているピアを「シーダー」といいます。シーダーからファイルを受け取るピアを「リーチャー」といいます。

     余談ですが、この「リーチャー」は蛭という意味だそうです。ファイルを吸う存在ですね。

    基礎を押さえておきましょう

    違法アップロードについて

    責任と対処法

     ピースという細かいファイルを受け取ったリーチャーは、ファイルが未完成でも、数パーセント手元にあれば、他のリーチャーに配布をしてしまいます。

     トレントは、適法なファイルをやり取りするという前提で設計されており、IPアドレスは剥き出しでやり取りをしております。

     トレントは、ファイルを共有するという設計思想から、基本的には、自動でアップロードをする仕組みになっております。そのため、違法アップロードをした記憶はない方が大半です。

     ここでは、その対処法をお話しします。

     脅すような内容になってしまいましたが、まずすべきは、「作品」「タイムスタンプ」の確認です。

     タイムスタンプとは、意見照会書上に、あなたが違法アップロードをした時刻として記載されている時刻です。

     気を付けていただきたいのですが、「申立書が付属している場合における、申立書の動画目録一覧にある大量のIPアドレス」は、すべてがあなたのものというわけではありませんので、ご注意ください。

     意見照会書上に書いてある、タイムスタンプの時刻の曜日を確認しましょう。その時間帯にパソコンを動かしていたか、カレンダーで確認をしてください。

     多くの場合、半年~2年程度前のタイムスタンプですので、思い出すのは難しいかもしれません。その場合は、弁護士にぜひご相談ください。

     作品やタイムスタンプ時刻に見覚えがない場合、パソコンを確認しましょう。作品が残っているかもしれません。

     物証があれば、思い出すことはできますが、それが難しい場合は、やはり当該違法アップロードを行った確証はないのですから、その旨を記載して、不同意回答を作成します。

    重要ポイント

    一人で悩まず使えるものは使う

    大丈夫。あなただけではありません。

     違法アップロードを行っているという前提でお話は進みますので、民事上・刑事上の責任を理解し、これに対処できるようにしておく必要はあります。

     一番間違いがないのは、弁護士の法律相談を利用していただくことです。掲示板の議論は、やや高度でついていけないという声もありましたので、分かりやすく説明させていただきます。

     他方で、弁護士を利用する場合の注意点もあります。記事や掲示板を自力で活用できる方は、その方法の利点もあります。

     弁護士の法律相談を利用する場合は、必ず複数社ご利用されることを強くお勧めします。

     なぜなら、弁護士によって方針もスタンスも全く異なるからです。とりわけ、当職は、一社目で早期示談をしてしまった方からのセカンドオピニオンを多く頂戴しておりますので、早期示談の場合には、あらかじめ慎重な検討を要します。

     以上、トレントと違法アップロードの関係についてご説明をさせていただきました。



  • トレントで発信者情報開示請求が届いたらまずやるべきこと

    トレントで発信者情報開示請求が届いたらまずやるべきこと

    1

    情報収集を始める

    「トレントまとめ」が使いやすいです。

     一番つらい時期ではありますが、意見照会書とにらめっこしていても仕方がありません。

     トレントに関しては、現在、情報があふれていてかえって整理しづらい状況にすらなってきています。当職は、トレント事件に関する知見を「トレントまとめ」というサイトにまとめていますので、こちらをご利用ください(本サイト上にも、掲示板での議論の基礎として、一定の知識は書いていく予定です。)

     なお、お忙しい方や、精神的に負担が大きい方は、自力で調べるのは大変でしょう。その場合は、ステップ3の弁護士相談を先行させて良いと思います(予約はとれるのが数日後になることもありますので、その意味でも、弁護士相談予約を先行させて、その間に調べる方法もあります。)。



    2

    手元の意見照会書と見比べる

    ある程度調べると、少しずつ読めてくると思います。

     トレントを利用したことにより、違法アップロードをしたことになっているので、そのことの責任を問われているということが分かってくると思います。

     刑事上及び民事上の責任を問われうることになりますが、落ち着いて対応すれば問題ありません。過度に不安を煽る情報には気を付けてください。

     ほとんどの方は、「トレントは使用したことがあるが、作品には覚えがない」という状態であると思います。まずは、2週間以内に回答書を書く必要があります。

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    弁護士の法律相談を利用する

    時間が許す限り複数社相談することをお勧めします。

     まず、弁護士の中には無料相談で対応している先生と、有料相談で対応している先生がお見えになります(当職は、無料相談対応です。)。

     無料相談対応と有料相談対応の場合とで、相談のクオリティそのものが違うわけではありません。完全にその先生の経営判断です。ホームページを見て、感触のよさそうな先生を予約するとよいでしょう。

     このとき、できれば、複数の先生にご相談に行かれることを強くお勧めします。

     なぜなら、弁護士によって、考え方も方針も異なるからです。

     もっとも、当職のみにご相談の場合でも、十分な情報を提供できるようには努力させていただきます(1時間以上無料で対応を行っております。)。

     受任を強要することはしておりませんので、相談をするデメリットはありません。

     キャンセル料も、今のところはキャンセル自体が少ないためいただいておりません(今後、悪質なケースがあれば、設けることは検討しております。)

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    今後の方針を決める

    メリットとデメリットを比較しましょう

     弁護士に依頼をすると弁護士費用が発生するデメリットがあります。これは、経済的な負担です。とくに金銭的に困窮している場合は、依頼は容易ではないでしょう。なお、弁護士費用の支払いが分割で契約したとしても、契約をした時点で、全額を支払う義務が発生します。その意味で、弁護士費用の捻出が難し場合はとくに、慎重に検討してから契約する必要があります。

     他方で、弁護士に依頼をすることで、この件の対応を任せることができます。いわば、丸投げにして、日常に戻ることが可能です。

     ここまでのステップを踏んできた方であれば、「ログの保存期間」「意見照会書発送のタイムラグ」といった考え方は理解できていると思います。すぐに示談をすることは、問題解決にはなりません。長期戦を覚悟する必要があります。

     弊所では、7年間の契約期間で盤石なサポートを行っております。その間、弊所が新規意見照会書・新規連絡文の件いずれも対応を行います。多くの問い合わせを受け、掲示板で知識を集積させている成果でもって、スタッフ一同全力でサポートさせていただきます。

  • 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律

    特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律

    第一章 総則(第一条及び第二条)

    第一条(趣旨)

    この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害等があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定めるとともに、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項を定め、あわせて、侵害情報送信防止措置の実施手続の迅速化及び送信防止措置の実施状況の透明化を図るための大規模特定電気通信役務提供者の義務について定めるものとする。

    第二条(定義)

    この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

    一 特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号及び第五条第三項において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。

    二 特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。第五条第二項において同じ。)をいう。

    三 特定電気通信役務 特定電気通信設備を用いて提供する電気通信役務(電気通信事業法第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。第五条第二項において同じ。)をいう。

    四 特定電気通信役務提供者 特定電気通信役務を提供する者をいう。

    五 発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。

    六 侵害情報 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が当該権利を侵害したとする情報をいう。

    七 侵害情報等 侵害情報、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由をいう。

    八 侵害情報送信防止措置 侵害情報の送信を防止する措置をいう。

    九 送信防止措置 侵害情報送信防止措置その他の特定電気通信による情報の送信を防止する措置(当該情報の送信を防止するとともに、当該情報の発信者に対する特定電気通信役務の提供を停止する措置(第二十六条第二項第二号において「役務提供停止措置」という。)を含む。)をいう。

    十 発信者情報 氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。

    十一 開示関係役務提供者 第五条第一項に規定する特定電気通信役務提供者及び同条第二項に規定する関連電気通信役務提供者をいう。

    十二 発信者情報開示命令 第八条の規定による命令をいう。

    十三 発信者情報開示命令事件 発信者情報開示命令の申立てに係る事件をいう。

    十四 大規模特定電気通信役務提供者 第二十条第一項の規定により指定された特定電気通信役務提供者をいう。

    第二章 損害賠償責任の制限(第三条・第四条)

    第三条(損害賠償責任の制限)

    1項

     特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。

    一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。

    二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。

    2項

     特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。

    一 当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。

    二 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、侵害情報等を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該申出に係る侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

    第四条(公職の候補者等に係る特例)

     前条第二項の場合のほか、特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報(選挙運動の期間中に頒布された文書図画に係る情報に限る。以下この条において同じ。)の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。

    一 特定電気通信による情報であって、選挙運動のために使用し、又は当選を得させないための活動に使用する文書図画(以下この条において「特定文書図画」という。)に係るものの流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等(公職の候補者又は候補者届出政党(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第八十六条第一項又は第八項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは衆議院名簿届出政党等(同法第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは参議院名簿届出政党等(同法第八十六条の三第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)をいう。次号において同じ。)から、当該名誉を侵害したとする情報(以下この条において「名誉侵害情報」という。)、名誉が侵害された旨、名誉が侵害されたとする理由及び当該名誉侵害情報が特定文書図画に係るものである旨(以下この条において「名誉侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報の送信を防止する措置(以下この条において「名誉侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該名誉侵害情報の発信者に対し当該名誉侵害情報等を示して当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

    二 特定電気通信による情報であって、特定文書図画に係るものの流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等から、名誉侵害情報等及び名誉侵害情報の発信者の電子メールアドレス等(公職選挙法第百四十二条の三第三項に規定する電子メールアドレス等をいう。以下この号において同じ。)が同項又は同法第百四十二条の五第一項の規定に違反して表示されていない旨を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があった場合であって、当該情報の発信者の電子メールアドレス等が当該情報に係る特定電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に正しく表示されていないとき。

    第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)

    第五条(発信者情報の開示請求)

    1項

     特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対し、当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報のうち、特定発信者情報(発信者情報であって専ら侵害関連通信に係るものとして総務省令で定めるものをいう。以下この項及び第十五条第二項において同じ。)以外の発信者情報については第一号及び第二号のいずれにも該当するとき、特定発信者情報については次の各号のいずれにも該当するときは、それぞれその開示を請求することができる。
    一 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
    二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
    三 次のイからハまでのいずれかに該当するとき。
    イ 当該特定電気通信役務提供者が当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報を保有していないと認めるとき。
    ロ 当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報が次に掲げる発信者情報以外の発信者情報であって総務省令で定めるもののみであると認めるとき。
    (1) 当該開示の請求に係る侵害情報の発信者の氏名及び住所
    (2) 当該権利の侵害に係る他の開示関係役務提供者を特定するために用いることができる発信者情報
    ハ 当該開示の請求をする者がこの項の規定により開示を受けた発信者情報(特定発信者情報を除く。)によっては当該開示の請求に係る侵害情報の発信者を特定することができないと認めるとき。

    2項

     特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときは、当該特定電気通信に係る侵害関連通信の用に供される電気通信設備を用いて電気通信役務を提供した者(当該特定電気通信に係る前項に規定する特定電気通信役務提供者である者を除く。以下この項において「関連電気通信役務提供者」という。)に対し、当該関連電気通信役務提供者が保有する当該侵害関連通信に係る発信者情報の開示を請求することができる。
    一 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
    二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

    3項

     前二項に規定する「侵害関連通信」とは、侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係る特定電気通信役務を利用し、又はその利用を終了するために行った当該特定電気通信役務に係る識別符号(特定電気通信役務提供者が特定電気通信役務の提供に際して当該特定電気通信役務の提供を受けることができる者を他の者と区別して識別するために用いる文字、番号、記号その他の符号をいう。)その他の符号の電気通信による送信であって、当該侵害情報の発信者を特定するために必要な範囲内であるものとして総務省令で定めるものをいう。

    第六条(開示関係役務提供者の義務等)

    1項

     開示関係役務提供者は、前条第一項又は第二項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、当該開示の請求に応じるかどうかについて当該発信者の意見(当該開示の請求に応じるべきでない旨の意見である場合には、その理由を含む。)を聴かなければならない。

    2項

     開示関係役務提供者は、発信者情報開示命令を受けたときは、前項の規定による意見の聴取(当該発信者情報開示命令に係るものに限る。)において前条第一項又は第二項の規定による開示の請求に応じるべきでない旨の意見を述べた当該発信者情報開示命令に係る侵害情報の発信者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、当該発信者に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。

    3項

     開示関係役務提供者は、第十五条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による命令を受けた他の開示関係役務提供者から当該命令による発信者情報の提供を受けたときは、当該発信者情報を、その保有する発信者情報(当該提供に係る侵害情報に係るものに限る。)を特定する目的以外に使用してはならない。

    4項

     開示関係役務提供者は、前条第一項又は第二項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。

    第七条(発信者情報の開示を受けた者の義務)

     第五条第一項又は第二項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者情報に係る発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。

    第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)

    第八条(発信者情報開示命令)

     裁判所は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者の申立てにより、決定で、当該権利の侵害に係る開示関係役務提供者に対し、第五条第一項又は第二項の規定による請求に基づく発信者情報の開示を命ずることができる。

    第九条(日本の裁判所の管轄権)

    1項

     裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについて、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。
    一 人を相手方とする場合において、次のイからハまでのいずれかに該当するとき。
    イ 相手方の住所又は居所が日本国内にあるとき。
    ロ 相手方の住所及び居所が日本国内にない場合又はその住所及び居所が知れない場合において、当該相手方が申立て前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)。
    ハ 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とするとき。
    二 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合において、次のイ又はロのいずれかに該当するとき。
    イ 相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき。
    ロ 相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にない場合において、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するとき。
    (1) 当該相手方の事務所又は営業所が日本国内にある場合において、申立てが当該事務所又は営業所における業務に関するものであるとき。
    (2) 当該相手方の事務所若しくは営業所が日本国内にない場合又はその事務所若しくは営業所の所在地が知れない場合において、代表者その他の主たる業務担当者の住所が日本国内にあるとき。
    三 前二号に掲げるもののほか、日本において事業を行う者(日本において取引を継続してする外国会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第二号に規定する外国会社をいう。)を含む。)を相手方とする場合において、申立てが当該相手方の日本における業務に関するものであるとき。

    2項

     前項の規定にかかわらず、当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に発信者情報開示命令の申立てをすることができるかについて定めることができる。

    3項

     前項の合意は、書面でしなければ、その効力を生じない。

    4項

    4 第二項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

    5項

     外国の裁判所にのみ発信者情報開示命令の申立てをすることができる旨の第二項の合意は、その裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、これを援用することができない。

    6項

     裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについて前各項の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の第二項の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、手続の追行による相手方の負担の程度、証拠の所在地その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し、又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情があると認めるときは、当該申立ての全部又は一部を却下することができる。

    7項

     日本の裁判所の管轄権は、発信者情報開示命令の申立てがあった時を標準として定める。

    第十条(管轄)

    1項

     発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
    一 人を相手方とする場合 相手方の住所の所在地(相手方の住所が日本国内にないとき又はその住所が知れないときはその居所の所在地とし、その居所が日本国内にないとき又はその居所が知れないときはその最後の住所の所在地とする。)
    二 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とする場合において、この項(前号に係る部分に限る。)の規定により管轄が定まらないとき 最高裁判所規則で定める地
    三 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。)
    イ 相手方の主たる事務所又は営業所
    ロ 申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所

    2項

     前条の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる発信者情報開示命令の申立てについて、前項の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、当該申立ては、最高裁判所規則で定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

    3項

     発信者情報開示命令の申立てについて、前二項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、当該申立てをすることができる。
    一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。) 東京地方裁判所
    二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。) 大阪地方裁判所

    4項

     前三項の規定にかかわらず、発信者情報開示命令の申立ては、当事者が合意で定める地方裁判所の管轄に属する。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。

    5項

     前各項の規定にかかわらず、特許権、実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利を侵害されたとする者による当該権利の侵害についての発信者情報開示命令の申立てについて、当該各項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、当該申立ては、それぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する。
    一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 東京地方裁判所
    二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 大阪地方裁判所

    6項

     前項第二号に定める裁判所がした発信者情報開示命令事件(同項に規定する権利の侵害に係るものに限る。)についての決定に対する即時抗告は、東京高等裁判所の管轄に専属する。

    7項

     前各項の規定にかかわらず、第十五条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による命令により同号イに規定する他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者の申立てに係る第一号に掲げる事件は、当該提供を受けた者の申立てに係る第二号に掲げる事件が係属するときは、当該事件が係属する裁判所の管轄に専属する。
    一 当該他の開示関係役務提供者を相手方とする当該提供に係る侵害情報についての発信者情報開示命令事件
    二 当該提供に係る侵害情報についての他の発信者情報開示命令事件

    第十一条(発信者情報開示命令の申立書の写しの送付等)

    1項

     裁判所は、発信者情報開示命令の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であるとき又は当該申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該発信者情報開示命令の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。

    2項

     非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第四十三条第四項から第六項までの規定は、発信者情報開示命令の申立書の写しを送付することができない場合(当該申立書の写しの送付に必要な費用を予納しない場合を含む。)について準用する。

    3項

     裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについての決定をする場合には、当事者の陳述を聴かなければならない。ただし、不適法又は理由がないことが明らかであるとして当該申立てを却下する決定をするときは、この限りでない。

    第十二条(非電磁的事件記録の閲覧等)

    1項

     当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、非電磁的事件記録(発信者情報開示命令事件の記録中次条第一項に規定する電磁的事件記録を除いた部分をいう。以下この条において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。

    2項

     前項の規定は、非電磁的事件記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)については、適用しない。この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。

    3項

     前二項の規定による非電磁的事件記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、当該記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。

    第十二条の二(電磁的事件記録の閲覧等)

    1項

     当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録(発信者情報開示命令事件の記録中この法律その他の法令の規定により裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。次項及び第三項並びに次条において同じ。)に備えられたファイル(第十七条第二項において単に「ファイル」という。)に記録された事項に係る部分をいう。以下この条において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。

    2項

     当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。次項及び次条において同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。

    3項

     当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。

    4項

     前条第三項の規定は、第一項及び第二項の規定による電磁的事件記録に係る閲覧及び複写の請求について準用する。

    第十二条の三(事件に関する事項の証明)

     当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、発信者情報開示命令事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。

    第十三条(発信者情報開示命令の申立ての取下げ)

    1項

     発信者情報開示命令の申立ては、当該申立てについての決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。ただし、当該申立ての取下げは、次に掲げる決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
    一 当該申立てについての決定
    二 当該申立てに係る発信者情報開示命令事件を本案とする第十五条第一項の規定による命令

    2項

     発信者情報開示命令の申立ての取下げがあった場合において、前項ただし書の規定により当該申立ての取下げについて相手方の同意を要するときは、裁判所は、相手方に対し、当該申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。ただし、当該申立ての取下げが発信者情報開示命令事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。

    3項

     前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、当該通知に係る申立ての取下げに同意したものとみなす。同項ただし書の規定による場合において、当該申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。

    第十四条(発信者情報開示命令の申立てについての決定に対する異議の訴え

    1項

     発信者情報開示命令の申立てについての決定(当該申立てを不適法として却下する決定を除く。)に不服がある当事者は、当該決定の告知を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。

    2項

     前項に規定する訴えは、同項に規定する決定をした裁判所の管轄に専属する。

    3項

     第一項に規定する訴えについての判決においては、当該訴えを不適法として却下するときを除き、同項に規定する決定を認可し、変更し、又は取り消す。

    4項

     第一項に規定する決定を認可し、又は変更した判決で発信者情報の開示を命ずるものは、強制執行に関しては、給付を命ずる判決と同一の効力を有する。

    5項

     第一項に規定する訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該訴えに係る同項に規定する決定は、確定判決と同一の効力を有する。

    6項

     裁判所が第一項に規定する決定をした場合における非訟事件手続法第五十九条第一項の規定の適用については、同項第二号中「即時抗告をする」とあるのは、「異議の訴えを提起する」とする。

    第十五条(提供命令)

    1項

     本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者(以下この項において「申立人」という。)の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。
    一 当該申立人に対し、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じそれぞれ当該イ又はロに定める事項(イに掲げる場合に該当すると認めるときは、イに定める事項)を書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって総務省令で定めるものをいう。次号において同じ。)により提供すること。
    イ 当該開示関係役務提供者がその保有する発信者情報(当該発信者情報開示命令の申立てに係るものに限る。以下この項において同じ。)により当該侵害情報に係る他の開示関係役務提供者(当該侵害情報の発信者であると認めるものを除く。ロにおいて同じ。)の氏名又は名称及び住所(以下この項及び第三項において「他の開示関係役務提供者の氏名等情報」という。)の特定をすることができる場合 当該他の開示関係役務提供者の氏名等情報
    ロ 当該開示関係役務提供者が当該侵害情報に係る他の開示関係役務提供者を特定するために用いることができる発信者情報として総務省令で定めるものを保有していない場合又は当該開示関係役務提供者がその保有する当該発信者情報によりイに規定する特定をすることができない場合 その旨
    二 この項の規定による命令(以下この条において「提供命令」といい、前号に係る部分に限る。)により他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた当該申立人から、当該他の開示関係役務提供者を相手方として当該侵害情報についての発信者情報開示命令の申立てをした旨の書面又は電磁的方法による通知を受けたときは、当該他の開示関係役務提供者に対し、当該開示関係役務提供者が保有する発信者情報を書面又は電磁的方法により提供すること。

    2項

     前項(各号列記以外の部分に限る。)に規定する発信者情報開示命令の申立ての相手方が第五条第一項に規定する特定電気通信役務提供者であって、かつ、当該申立てをした者が当該申立てにおいて特定発信者情報を含む発信者情報の開示を請求している場合における前項の規定の適用については、同項第一号イの規定中「に係るもの」とあるのは、次の表の上欄に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

    当該特定発信者情報の開示の請求について第五条第一項第三号に該当すると認められる場合

    に係る第五条第一項に規定する特定発信者情報

    当該特定発信者情報の開示の請求について第五条第一項第三号に該当すると認められない場合

    に係る第五条第一項に規定する特定発信者情報以外の発信者情報


    当該特定発信者情報の開示の請求について第五条第一項第三号に該当すると認められる場合
    に係る第五条第一項に規定する特定発信者情報
    当該特定発信者情報の開示の請求について第五条第一項第三号に該当すると認められない場合
    に係る第五条第一項に規定する特定発信者情報以外の発信者情報

    3項

     次の各号のいずれかに該当するときは、提供命令(提供命令により二以上の他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者が、当該他の開示関係役務提供者のうちの一部の者について第一項第二号に規定する通知をしないことにより第二号に該当することとなるときは、当該一部の者に係る部分に限る。)は、その効力を失う。
    一 当該提供命令の本案である発信者情報開示命令事件(当該発信者情報開示命令事件についての前条第一項に規定する決定に対して同項に規定する訴えが提起されたときは、その訴訟)が終了したとき。
    二 当該提供命令により他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者が、当該提供を受けた日から二月以内に、当該提供命令を受けた開示関係役務提供者に対し、第一項第二号に規定する通知をしなかったとき。

    4項

     提供命令の申立ては、当該提供命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。

    5項

     提供命令を受けた開示関係役務提供者は、当該提供命令に対し、即時抗告をすることができる。

    第十六条(消去禁止命令)

    1項

     本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、当該発信者情報開示命令事件(当該発信者情報開示命令事件についての第十四条第一項に規定する決定に対して同項に規定する訴えが提起されたときは、その訴訟)が終了するまでの間、当該開示関係役務提供者が保有する発信者情報(当該発信者情報開示命令の申立てに係るものに限る。)を消去してはならない旨を命ずることができる。

    2項

     前項の規定による命令(以下この条において「消去禁止命令」という。)の申立ては、当該消去禁止命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。

    3項

     消去禁止命令を受けた開示関係役務提供者は、当該消去禁止命令に対し、即時抗告をすることができる。

    第十七条(電子情報処理組織による申立て等)

    1項

     発信者情報開示命令事件に関する裁判手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百三十二条の十、第百三十二条の十一及び第百三十二条の十二(第一項第一号に係る部分を除く。)の規定を準用する。この場合において、同法第百三十二条の十第五項及び第六項並びに第百三十二条の十二第二項及び第三項中「送達」とあるのは「送達又は送付」と、同法第百三十二条の十一第一項第一号中「もの(第五十四条第一項ただし書の許可を得て訴訟代理人となったものを除く。)」とあるのは「もの」と、同項第二号中「第二条」とあるのは「第九条において準用する同法第二条」と、同法第百三十二条の十二第一項第三号中「第百三十三条の二第二項」とあるのは「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第十八条において読み替えて準用する第百三十三条の二第二項」と読み替えるものとする。

    2項

     発信者情報開示命令事件に関する裁判手続においてこの法律その他の法令の規定に基づき裁判所に提出された書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この項において同じ。)(申立て等が書面等により行われたときにおける当該書面等を除く。)又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録されている事項のファイルへの記録については、民事訴訟法第百三十二条の十三(第一号に係る部分を除く。)の規定を準用する。この場合において、同条第三号中「第百三十三条の二第二項」とあるのは「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第十八条において読み替えて準用する第百三十三条の二第二項」と、同条第四号中「第百三十三条の三第一項」とあるのは「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第十八条において読み替えて準用する第百三十三条の三第一項」と読み替えるものとする。

    第十八条(当事者に対する住所、氏名等の秘匿)

    (当事者に対する住所、氏名等の秘匿)
    第十八条 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続における申立て等については、民事訴訟法第一編第八章の規定を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

    第百三十三条第一項

    当事者

    当事者又は利害関係参加人(非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第二十一条第五項に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)

    第百三十三条第三項

    訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録

    発信者情報開示命令事件(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第二条第十三号に規定する発信者情報開示命令事件

    )中

    )の記録中

    訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等

    発信者情報開示命令事件の記録の閲覧等(非電磁的事件記録(同法第十二条第一項に規定する非電磁的事件記録をいう。)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付若しくはその複製又は電磁的事件記録(同法第十二条の二第一項に規定する電磁的事件記録をいう。次条において同じ。)の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくは電磁的記録の提供

    第百三十三条の二第一項から第三項まで、第百三十三条の三第一項及び第百三十三条の四第二項

    訴訟記録等の閲覧等

    発信者情報開示命令事件の記録の閲覧等

    第百三十三条の二第二項

    訴訟記録等中

    発信者情報開示命令事件の記録中

    第百三十三条の二第五項

    電磁的訴訟記録等(電磁的訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録中ファイル記録事項に係る部分をいう。以下この項及び次項において同じ。)

    電磁的事件記録

    電磁的訴訟記録等から

    電磁的事件記録から

    第百三十三条の二第六項

    電磁的訴訟記録等

    電磁的事件記録

    第百三十三条の四第一項

    者は、訴訟記録等

    当事者若しくは利害関係参加人又は利害関係を疎明した第三者は、発信者情報開示命令事件の記録

    第百三十三条の四第二項

    当事者

    当事者又は利害関係参加人

    訴訟記録等の存する

    発信者情報開示命令事件の記録の存する

    第百三十三条の四第七項

    当事者

    当事者若しくは利害関係参加人


    第十九条(非訟事件手続法の適用関係)

    1項

     発信者情報開示命令事件に関する裁判手続については、非訟事件手続法第二十二条第一項ただし書、第二十七条、第四十条、第四十二条及び第四十二条の二の規定は、適用しない。

    2項

     発信者情報開示命令事件に関する裁判手続についての非訟事件手続法第三十八条の規定の適用については、同条中「非訟事件手続法第四十二条第一項」とあるのは、「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第十七条第一項」とする。

    第二十条(最高裁判所規則)

     この法律に定めるもののほか、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

    第五章 大規模特定電気通信役務提供者の義務(第二十条―第三十四条)

    中略

    第六章 罰則(第三十五条―第三十八条)

    中略

    附則

    この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。