作 成 : 愛知県弁護士会所属弁護士 早河弘毅

ITJ法律事務所からの請求について【事務所を騙る詐欺や架空請求の可能性は?】

目次

意見照会書や申立書にITJ法律事務所と書いてあった場合。詐欺や架空請求の可能性はある?

ITJ法律事務所はトレント事件では最も相手方になることが多いです。

どう対応すればいいのでしょうか?徹底解説していきます。

 届いた意見照会書・申立書をよく読んでみてください。

 よく読むと、相手方(権利者)の法律事務所としてITJ法律事務所の名前があるかもしれません。ITJ法律事務所は、トレント案件で発信者側の依頼を受けていれば、最も多く対応することになる事務所の一つです。その証拠に、発信者側で集客をしている法律事務所のサイトを見ると、おそらくITJ法律事務所を念頭に置いて書いているのではないかという記事も多く目にします。
 ITJ法律事務所が相手方(権利者)の法律事務所であった場合の対応について、ご説明していきます。

ITJ法律事務所を騙った架空請求の可能性は現状低いと私は見ています

残念ながらITJ法律事務所は実際にトレント案件で権利者側の代理人をしています。そして、少なくともこの事件類型でITJ法律事務所の名前を騙る業者がいるという話は聞いたことがありません。偽業者を相手方とする法律相談を受けたこともないです。

実際書面を受け取ってしまったあなたからすると、「これは架空請求じゃないか」と気にしたり、もしかしたら、そう思いたくなるかもしれません。

架空請求の可能性は低し。真剣に対応していきましょう。

 残念ながら、現状、私のほうでITJ法律事務所の名前を騙って請求をする業者がいるという話は聞いたことがありません。また、このような業者から連絡が来ているという法律相談を受けたこともありません。
 また、私が受任してみたところ、ITJ法律事務所とは無関係の業者だった、というケースも全くありません。
 ITJ法律事務所は実際にこの事件の処理をしている法律事務所ですので、実際にITJ法律事務所側で違法アップロードの調査を行い(調査会社を使っていることが多いです。)、これをもとにプロバイダに連絡して、プロバイダから書面が来ているということなのでしょう。
 ITJ法律事務所のホームページでも、偽業者に対する警告のようなものは一切なされていません。

直接ITJ法律事務所に確認する方法もあるものの・・・・

 ITJ法律事務所のサイトでは、架空請求かどうか回答することができるので、気になる場合は連絡してもらっても問題ない旨記載されています。

Q: トレントの開示請求を受けました。架空請求ではないか心配です。
A: 架空請求かどうか確認しますので、ご連絡ください。架空請求の場合は、その旨お伝えします。

トレントの発信者情報開示請求について – 弁護士法人ITJ法律事務所 (japanlaw.net)

 架空請求か、そうでないか、というだけが気になるのであれば、直接問い合わせて回答してもらうのが早いでしょう。
 しかし、おそらく架空請求ということはありませんので、あなたはこれから権利者側の代理人であるITJ法律事務所と渡り合っていかなければなりません。
 そして、あなたのしてしまった違法アップロードの件について、ITJ法律事務所は少なくともあなたの味方になることは一切できないのです。
 いずれにせよ、こちらはこちらで弁護士に相談しておく必要が高いので、架空請求が気になる場合も、トレントに強い弁護士を探して、法律相談をしておいた方がよいでしょう。依頼した場合、架空請求でないことの確認含めて弁護士のほうから行ってもらうことができます。

信頼できる代理人を選びましょう。

架空請求なのではないか、と思いたくなる発信者の心理

疑う、というよりは信じたくない、が正解かもしれません。しかし、現実を直視して早めに今後の戦略を組み立てましょう。

一人で悩んでないで法律家にぜひご相談を

被請求側が、「これは本当に弁護士からの請求なのだろうか」という疑問の中に延々と居続けたがるのは、トレント事件やITJ法律事務所に限らず、よくあることです。

トレント事件に限らず、「弁護士なのか?」と気にするのはよくあること

 実は私も、弁護士をしていると、請求側で代理をしたときに「本当に弁護士さんなんですか?!」と繰り返し問われることは、よくあります。友人の弁護士とこの話題になったこともあります。
 私自身、日ごろは労働事件や離婚事件をやっていることもありますが、請求先の会社の社長や、配偶者などの相手方に「あなたは本当に弁護士なんですか?」と語気鋭く何度も尋ねられたことがあります。

「本当に弁護士なんですか」と聞いてくるタイプの方の特徴

何とかして戦わなければと思っているのか、焦っている方も多い気がします。

 まず、「弁護士なんですか」と聞いてくる人は

  • 本当に弁護士なのか分からないので聞いている
  • 本当は弁護士だと分かっているが聞いている
  • 上記1か2のどちらなのか自分自身でもよくわかっていない

 のいずれかではあると思いますが、そのいずれであるのかは私にも正直分かりません。おそらくは3ではないかと思っています。
 「本当に弁護士なんですか」と聞いてくる人は、これまでの私の経験上では、ほぼ全員が、語気鋭く、強い調子でこのセリフを口にします。穏やかな調子で「お話は分かりました。ただ、こちらとしてもあなたが弁護士であるかどうか確認したいので、念のため委任状を見せていただけないでしょうか」などという人は、少なくとも個人を相手方にしているケースではお目にかかったことがありません。
 おそらく、「本当に弁護士なのか」を問題にする方の心理としては、あくまで私の推測ですが、以下のような心理状態が含まれることもあるのではないのでしょうか。

  • 本当に弁護士から請求が来ているということを認めたくない
  • そもそも弁護士であることさえ認めない、という水際作戦で戦っておこうと考えている。
  • もちろん、本当に弁護士なのかどうか分かっているわけではないから聞きたい

 これらの方に共通するのは、「戦っておかなければ」という気持ちが強いからか、私が登録番号などを伝えて弁護士であることを説明しても、交渉に消極的だったり、小さいところで逐一争いになり前に進みづらい傾向もあります(そうすると、訴訟を起こさなければならないこともあります。)。

ITJ法律事務所を権利者側代理人とする書面が届いたら、ぜひご相談ください。

ITJ法律事務所から書面が届いた場合、詐欺や架空請求の可能性は令和6年5月27日現在では低いです。すなわち、書面を受け取ったあなたがすべきことは、今後この法律事件に対し向き合っていくことであって、「本当に弁護士か」「もしかしたら弁護士ではない可能性もあるのではないか」と問い続けることではありません。

弁護士早河弘毅は、ITJ法律事務所を相手方として対応をした経験もあります。適切なアドバイスが可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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    この記事を書いた人

    愛知県弁護士会所属弁護士(登録番号は60208)。
    大学入学後半年間の学習で1年生の秋に行政書士合格。
    名古屋大学法科大学院卒。
    弁護士登録後2年10か月で早期独立開業し、令和5年9月1日に「早河弘毅法律事務所」を創設。
    創設後、持ち前の労働事件、刑事事件、インターネット事件の処理を中心に売り上げを堅調に伸ばし、令和6年4月に法人化、「弁護士法人早河弘毅法律事務所」の所長となる。
    1991年12月23日生まれ。
    依頼人に寄り添う弁護士、不安からお守りできる弁護士になりたいと思っているが、それは基礎となる法的素養が盤石であることが前提であって、単なる巧言令色を意味しない。早いレスポンスと丁寧な説明が売り。

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