概要(ITJ法律事務所が代理人である場合について)
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トレント関連で発信者情報開示にかかる意見照会書が届く件について、現状は、8~9割程度のケースでは、AVメーカー等の権利会社側の代理人は、ITJ法律事務所となっています。
このように、ITJ法律事務所が関係する事件が多いことから、トレント関連の発信は、それを明示していないものであっても、ほぼITJ法律事務所を念頭に置いていると思ってよいです。
ITJ法律事務所の特徴
ITJ法律事務所の特徴は、当職から見ますと以下のとおりです。
- 代理人を務めているメーカーが多く、ほとんどITJ法律事務所が代理人をしている。
- 交渉に関するスタンスを相当程度公表しており、HPで確認することができる。
- 現状、個別和解は33万円、包括和解は77万円の提案を一律に行っている。
- 減額交渉には応じない。
- 裁判所のサイトで「トレント」と検索して確認できる裁判例の約半数以上で原告代理人を務めている。
- 株式会社HDRという調査会社の開発したツールでIPアドレスの検出を行っている。
- トレント関連で確認できる3件の債務不存在確認訴訟はいずれもITJ法律事務所が被告である。
裁判外手続きパターン(テレサ書式パターン)について
ITJ法律事務所は裁判外手続きパターン(テレサ書式パターン)を行うことがある。
現状、ITJ法律事務所は裁判外手続きパターン(テレサ書式パターン)でプロバイダに開示請求を行っていることが確認されています。
裁判外手続きパターン(テレサ書式パターン)の場合は、タイムスタンプと作品名を確認しましょう。同意しない回答(不同意回答・開示拒否回答)をすることで、プロバイダが不開示にしてくれる場合があります。この場合、回答書に同意しない理由をきちんと書きましょう。プロバイダ責任制限法6条1項は、プロバイダの理由聴取義務を定めています。
プロバイダ責任制限法6条1項を確認する。
(開示関係役務提供者の義務等)
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 | e-Gov 法令検索
第六条 開示関係役務提供者は、前条第一項又は第二項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、当該開示の請求に応じるかどうかについて当該発信者の意見(当該開示の請求に応じるべきでない旨の意見である場合には、その理由を含む。)を聴かなければならない。
申立済みパターンでは、AVメーカー等の権利会社側から裁判所に対し申立書が送られています。
裁判外手続きパターン(テレサ書式パターン)ではAVメーカー等の権利会社側は、プロバイダに手紙を出しているだけです。
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早期示談をする前に
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同意しない回答(不同意回答・開示拒否回答)について
ITJ法律事務所が代理人の場合に言えること
現在(令和6年12月26日)の直近の裁判例では、ITJ法律事務所が原告・控訴人となったケースで、控訴を棄却し、非開示となりました(令和6年(ネ)第10050号 発信者情報開示請求控訴事件
(原審 東京地方裁判所令和5年(ワ)第70071号)。
本件調査においては、本件発信者らとの間で PIECE(subpiece)通信が行われ、動画ファイルのピースをダウンロードするとともに、同通信開始時点のタイムスタンプや保有するピ
093428_hanrei.pdf
ースの数等がデータベースに記録されるところ、このダウンロードされた各動
画ファイルのピースは、原告において再生することができなかったというので
ある。
このように、棄却に終わったケースも存在します。同意しない回答(不同意回答・開示拒否回答)により、非開示に終わる可能性はあると言えるのが特色でしょう。
作品名・タイムスタンプを確認し、同意する・同意しないを検討しましょう
およそトレントを利用していないと記載するような、虚偽の回答をすることは許されません。その一方で、発信者情報開示にかかる意見照会書に記載された作品に覚えがなかったり、タイムスタンプに記載されている日時・曜日の当該時間帯にPCを起動していたはずはないというアリバイがあることもあるでしょう。違法アップロードされた作品が手元に残っているケースは非常にまれなはずで、多くの場合、確証は持てないはずです。まず、事実確認を徹底しましょう。
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複数の作品・会社からの請求について
ITJ法律事務所が代理人となっている複数のメーカーについて
ITJ法律事務所は、トレント関連では、相当多数のAVメーカー等の権利会社側についているため、ITJ法律事務所が代理人となっている複数のメーカーの件で、発信者情報開示にかかる意見照会書が届く可能性があります。
特に、株式会社CONT、有限会社プレステージ、三和出版株式会社の3社は、見かけることが多い状態となっています。
これらを意識した対応を行う必要があります。
IPアドレスを用いた調査の是非について
ITJ法律事務所は、示談交渉が始まると、早い段階で、「あなたとIPアドレスでほかに次の侵害が確認されています。」と通知してくるケースがあります。この、通知の内容そのものは、ひとまず間違っていないと考えられます。しかしながら、これをもとに示談を進めることには慎重を要します。
なぜなら、現在一般家庭で普及しているIPアドレスは、通常、動的IPアドレスであり、時間の経過やルータの電源のオンオフ、接続のし直しによって容易にIPアドレスが変動するものです。ですので、IPアドレスとタイムスタンプがセットにならなければ、特定の端末を特定することはできません。
このような状況下で、IPアドレスをもとに示談を行えば、自らの侵害通信ではないものについて、侵害通信であると誤認して和解をしたり、実際には存在する自らの侵害通信を見落とした状態で和解することにもなりかねません(IPアドレス調査の是非については以下の記事でも言及していますので、良ければぜひご覧ください。)。
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複数社・複数作品への対応としては、ログの保存期間まで待機することが最も確実
プロバイダは、トレントを利用した通信のIPアドレスとタイムスタンプを永続的に保有しているわけではありません。一定期間を経過した通信ログについては、日々削除しています。この「一定期間」は、社内でルールがあります。これを「ログの保存期間」と言います。
早い話、ログの保存期間が切れた通信については、AVメーカー等の権利会社側がこれを捕捉していたとしても、プロバイダ側は、記述的な理由により開示をすることができません。したがって、発信者側からすると、ログの保存期間の切れた通信に係る件については、責任追及される可能性が大きく下がる、ということがいえます。
他の作品・会社からの請求の可能性を見極めるには、このログの保存期間の間待機することが最も有効であると考えられます。
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ITJ法律事務所が代理人である場合の訴訟について
訴訟提起される可能性について
現状、公開されている情報をもとにしますと、ITJ法律事務所は積極的に民事訴訟の提起を行っているようには見えません。
訴訟提起を行っていること
しかしながら、ITJ法律事務所を代理人とする、トレント関連の訴訟が行われていること自体は、ITJ法律事務所のHPにも記載があるほか、当職の受任案件ではありませんが、他の法律事務所の発信で、確認することができます。
AVメーカー等の権利会社側からみる、訴訟提起を行う必要性。
AVメーカー等の権利会社側からしても、民事訴訟を実際には行っていないということですと、示談を行う人もいなくなりますので、民事訴訟というカードを切っていく必要はあります。
民事訴訟を行うことは可能
民事訴訟を行うことにはコストも時間もかかりますが、それらを覚悟したうえであれば、民事訴訟を行うことができないわけでは全くありません。
民事訴訟に備えておく必要があること
以上からすると、ITJ法律事務所が代理人をしているケースで、民事訴訟がなされるケースは、十分あります。民事訴訟については、本人訴訟での対応は難しく、失敗すれば多額の損害賠償義務を負うリスクがあります。
弊所の取り組み
弊所では、依頼人の心からの安心・満足、そして法的なディフェンスを提供するため、示談交渉をご依頼された方については、民事訴訟の対応を無償とするプランをご用意しています(条件がございます。)。
ITJ法律事務所が代理人となっている件についてはぜひご相談ください。
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