作 成 : 愛知県弁護士会所属弁護士 早河弘毅

示談金の相場を弁護士が解説【トレント関連で開示請求されている方へ】【著作権侵害に対する損害賠償請求】

目次

トレントの違法アップロードの示談金の相場は?

早河弘毅

示談金の相場を私が解説していきます。ご不安な思いの中、相場を気にかけるのは当然のことですので、なるべく丁寧にご説明します。

意見照会書が届いたら示談をした方が良いと言われることがあります。示談は、刑事責任と民事責任双方に対応できます。示談をすること自体は多くの場合間違っていません。問題は、示談をするために必要になる示談金です。いくら用意しておけばよいのでしょうか?

示談金+弁護士費用がいくらになるのか、などシミュレーションしておく必要があります。

 示談金は30万円から70万円程度、そう言われることもあります。実際にこれから示談をして、示談金を支払う立場からすれば、あらかじめ具体的な金額を知りたいと思うものでしょう。

トレントの示談金の金額は、AVなどの作品について、複数侵害しているどうか、個別合意をするか、包括合意をするかで異なる。

早河弘毅

作品数によって金額が異なってくる点、押さえておきましょう

個別合意なら30万円、包括合意なら70万円と言われることがありますが、あくまで相場ですし、変わることがあります。

 示談は、著作権侵害について和解をするために支払う金銭であり、作品ごとに和解をします。
 そのため、例えばA社のA1という作品を違法アップロードしてしまったとします。
 そのあと、A2という作品をもともと侵害していたことが後から分かった、という事案では、もともとが「A1だけ示談します」という内容の示談だった場合、これを本ページでは個別合意といいますが、理屈上、A2作品については、後から別で請求される可能性が残ります。
 個別合意は30~50万円程度で示談できるケースが現時点(令和6年6月9日時点)ではあり、金額が抑えられる傾向がありますが、このようなリスクがあるわけです。
 そこで、「後から別の作品について著作権侵害が分かったとしても、その作品についても請求はしない」という内容の合意がされます。これを本サイトでは「包括合意」といいます。
 この包括合意をするために、70万以上の示談金が必要になります。

示談金はどのようにして決まる?交渉はできるのか?

早河弘毅

私の経験上、交渉ができるケースとできないケースがあります。相手方法律事務所のカラーも大きいです。お金のことですので、基本的には交渉に取り組む価値はありますが、見込み薄の場合はあらかじめそう伝えざるを円ません。

双方の合意で金額を決めます

 そもそも、示談金の「相場」というのは法的な用語ではありません。この金額で和解をしてください、という法的な基準があるわけではありません。
 当事者が決める和解ラインについて、法律は、基本的にはノータッチです(公序良俗などの規定はあります。)。
 交渉をして、両者が最終的にどのような金額で納得できるのか、という議論です。
 これは、意見照会を受け取ったあなたの立場からすれば、①示談金を払って、訴訟リスクと刑事事件化リスクを回避する。②訴訟リスクと刑事事件化リスクを受け入れる代わりに示談金の金銭負担を免れるという2つの選択のいずれを良しとするかという問題です。
 他方、著作権を侵害されたと主張している権利者の側からすれば、①示談金を受け取って訴訟と刑事告訴は断念する。②示談を蹴って訴訟と訴訟告知の準備を進める、という2つの選択のいずれを良しとするかです。

実際には、同種案件を大量に扱っている権利者側会社のほうで、(あくまで自社のスタンスとしてですが)、和解の基準を一定程度決めており、交渉には応じないこともあります。

示談金は昔と比べて変わった?上昇傾向にある?

早河弘毅

結論から言うと、私が担当している事件で、和解基準額が40万円→70万円に変わったことがあり、焦ったことがあります。

請求側の会社が和解ラインを引き上げることがあります。

 和解は当事者のギブアンドテイクですので、権利者側会社が、会社として、「もう少し和解金をあげても、発信者は和解をしてくれるし、その方が金銭を回収できて自社として得だ」と思うのであれば、和解金を上げることは選択としてあり得ます。
 このような選択をすることには、権利者側会社としては、リスクもあります。
 和解金が上がってしまうと、発信者の中には、「どうせ払えないから黙殺しよう」「訴訟と刑事告訴をされる可能性があるとしても、されるとは限らないし、された場合には受けて立とう」という判断をする人たちが出てきます。
 権利者側会社としては、このようなリスクにも目くばせしながら、和解金の基準を決めていますし、場合によっては、個別のケースで譲歩しています。

トレント利用による著作権侵害の示談金の相場なら、弁護士早河弘毅にぜひご相談ください。

「相場」は絶対ではありませんが、それでもプロバイダから意見照会書を受け取ってしまった人が、最初に覚悟を固める数字ではあります。「相場」は、実際にこの類型の事件を経験した弁護士でなければ、肌感覚がなく、分からないこともあります。
ぜひ、早河弘毅にご相談ください。トレント事件については経験をさらに積みたいので、ご相談は大歓迎です。

お待ちしております!
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この記事を書いた人

愛知県弁護士会所属弁護士(登録番号は60208)。
大学入学後半年間の学習で1年生の秋に行政書士合格。
名古屋大学法科大学院卒。
弁護士登録後2年10か月で早期独立開業し、令和5年9月1日に「早河弘毅法律事務所」を創設。
創設後、持ち前の労働事件、刑事事件、インターネット事件の処理を中心に売り上げを堅調に伸ばし、令和6年4月に法人化、「弁護士法人早河弘毅法律事務所」の所長となる。
1991年12月23日生まれ。
依頼人に寄り添う弁護士、不安からお守りできる弁護士になりたいと思っているが、それは基礎となる法的素養が盤石であることが前提であって、単なる巧言令色を意味しない。早いレスポンスと丁寧な説明が売り。

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