作 成 : 愛知県弁護士会所属弁護士 早河弘毅

「家族にバレずに」ということが本当にできるのか?

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結論から言うと難しいと思います。

 お世話になっております。弁護士の早河です。

 前々から言おうと思っていたのですが、「家族にバレずに」事件を解決するということを主張している先生方がいますが、トレント事件に関して言うとそれは無理ではないかと思います(広告の仕方に問題はあると思います。)
 具体的に言うと、「新しく来た発信者情報開示にかかる意見照会書」については、基本的にプロバイダ→契約者に直接送ってくることを防ぐ方法がないように思います。

トレント事件における関係書類として想定できるものは大きく分けて5つ

新しい「発信者情報開示にかかる意見照会書」について

 サイト内でご説明させていただいているように、トレントを利用している人は、複数作品・複数メーカーのAVを違法アップロードしている可能性が高く、複数のメーカーから請求が来る可能性がありますし、メーカーは同じでも別作品から請求が来る可能性はあります。
 そうすると、新しく発信者情報開示にかかる意見照会書が来る可能性があるのですが、プロバイダは基本、契約者にこれを送ってきます。弁護士が付いていても、事務処理上の都合で契約者への送信を強行してくる可能性が高いです。
 なお、「バレずに解決」を謳っている先生の多くは、そもそも、「1件ごと」に数十万円を受け取って和解をしているので、2件目以降はそもそも契約に入っていないという認識であると思われます。

開示の通知について

 これは、依頼すれば弁護士あてに送ってもらえることもありますが、依頼してあっても本人宛に届くこともあります。体感50%くらいでしょうか。なお、同意しない回答(不同意回答・開示拒否回答)の発信者の情報を開示した場合は、この開示の通知を送ることがプロ責法で義務付けられています。

不開示の結果通知について

 これを送ることは法律上の義務ではありませんが、実際にはやってくれるプロバイダも結構います。ただ、本人に送ってくる可能性は50%くらいある気がします。

AVメーカー等の権利会社側とのやり取り、合意書について

 これは、100%弁護士を窓口にして行うことが可能です。弁護士をつけているのに、頭越しで送ってくることはありません。

 なお、即決示談事務所の中には和解前に文案を見せてこない事務所や、作成した和解書の原本はおろか写しのPDFさえも共有してこない事務所もあるということですが、問題外以下の対応であると思います。ちゃんと見せてもらいましょう。

訴状や準備書面について

 民事訴訟を提起された場合の訴状については、裁判所から被告の自宅に送達されますので、弁護士が示談交渉から入っていたとしても、被告の自宅に直接届きます。
 裁判が始まってからの準備書面については、弁護士がファックスでやりとりするので、家族に見られることはないでしょう。

なぜ「家族にバレない」広告をするのか

 推測ですが、本人でもできる示談を弁護のサービスのように言っていくにあたっては、当然ですが「それって何のメリットがありますか」という批判・疑問にさらされますので、家族にバレないメリットはあると言っていくところはあると思います。上記で見たとおり、AVメーカー等の権利会社側とのやりとりは、確かに法律事務所がやってくれるので、自力でやり取りをする負担が減少したり、家族に書類を見られるリスクが減少したりするというのは、間違っていません。

 しかし、追加の発信者情報開示にかかる意見照会書が自宅に届いた場合は、どうでしょうか。もちろん、1件ごとに契約をしているにすぎないという先生の立場からすれば「それは別件です。」という整理ではあると思います。
 しかし、依頼人からすれば、トレントの件で一切家族に書類を見られたくないというニーズがあるのであって、結局その後の意見照会書が自宅に届いてしまうのであれば、「家族にバレない」は少々行き過ぎている印象もあるかと思いました。

 

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この記事を書いた人

愛知県弁護士会所属弁護士(登録番号は60208)。
大学入学後半年間の学習で1年生の秋に行政書士合格。
愛知大学法学部卒。名古屋大学法科大学院卒。
弁護士登録後2年10か月で早期独立開業し、令和5年9月1日に「早河弘毅法律事務所」を創設。
創設後、持ち前の労働事件、刑事事件、インターネット事件の処理を中心に売り上げを堅調に伸ばし、令和6年4月に法人化、「弁護士法人早河弘毅法律事務所」の所長となる。
1991年12月23日生まれ。
依頼人に寄り添う弁護士、不安からお守りできる弁護士になりたいと思っているが、それは基礎となる法的素養が盤石であることが前提であって、単なる巧言令色を意味しない。早いレスポンスと丁寧な説明が売り。

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