読売&日経クロスのトレント関連記事について

弁護士早河弘毅皆さん、新年あけましておめでとうございます。



読売のやつ読みましたけど・・・・・



個人的には微妙でした





全3頁です。



「IPアドレスベース」でかなりの件数があると説明したうえで、プロバイダの負担が強調されており、そのために手数料を取る制度を作ろうとか書いてあって



最後の方には
1動画あたり数万~数十万円の示談金を求められ、利用者が困惑するケースもある。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260106-GYT1T00276/2/



うーん



この書き方で、複数回請求がされることや、200万円以上払うことになった人もいることが分かるんでしょうか?そもそも大多数のケースでは88万円の和解を提案されているのであって、「数十万円」ではなくて「百万円弱」であると思います。数十万円って言ったら普通は20~30万円くらいじゃないですか?生活を失う人もいると思うのですが、「困惑」というのはだいぶ余裕のある表現ですよね。「困惑」くらいだったら、自業自得だから払えってなりませんか。そもそもいま「数万円」のケースってないですよ。個別和解の表示もなくなってますし



こっちの記事は、「制作会社側の一部の代理人を務める東京都内の弁護士事務所」のヒアリングをしてきたこともあって、相当この事務所からの情報に寄っていると思います。こんないい加減な内容だったら出してほしくなかったですねー。



この辺は日経XTECHの方は一定程度は書いてくれてますね!
あとは・・・・・



SNSを見ても結構反響があって、法曹関係者の間でも注視が広がっていることを感じます。



記事の内容自体は、他にも、若干問題児だなーと思うところが個人的にはあります。



まず、記事を書いた人は意見を切り貼りしただけであんまり理解というか、落とし込んでないですよね。



今日はそのあたりをちゃんと見ていきたいと思います。
解説動画です!ぜひともご覧ください!
作成日・改訂日
作成日



この記事は令和8年1月9日に僕が作りました(AIも使わず。)。
改訂日



令和8年1月10日に大幅改定をしました。日経クロスについても9日に出たので、このすぐ下に書く方法でめっちゃ加筆しました。
【加筆】日経XTECHの1月9日の記事について



9日に日経クロスからも記事が出ました!(本件は当職にも取材の依頼は来ておりました。)





こっちも、いい面もあるけど、タイトルは微妙やな!



大前提として、違法アップロードはもちろん、違法ダウンロードも「権利侵害」です。



権利侵害がない、なんて言い出す人はどこにもいないとは思います。私も言いません。



しかし、「深刻」と言い切る根拠はどのようなものかな。



アダルトコンテンツに関していうと、どの程度の購買行動が消滅をしたと言えるのか分かるものなんですかね。



いわゆるプロの人ではなく、一般市民の個々のピアがアップロードしたピースは知れていると思いますよ



「深刻」の域に到達しているのは、一部の権利者側の請求と、即示談契約だと思いますよ。



多分「深刻」は、日本レコード協会の人が特定に至ったと話している20名の人のような、悪質な人によってもたらされるアップロードのことであると思います。



トレントはかつて爆発的に流行していて、利用者のほとんどは、軽率な面はあっても、犯罪傾向が進んでいるわけではないです。
この、タイトルはもうちょっと考えてほしかったと思います。「深刻」は目を引きますけどね。
日本レコード協会によると、いずれも利用状況を調べて「大量の違法アップロードを行っている悪質な利用者に対して開示請求を行った」(著作権保護・促進センター)。特定した17のIPアドレスの利用者とは個別に損害賠償金の支払いと「今後著作権侵害をしない旨の誓約」の協議を進めている。損害賠償額は平均50万円で、9人と合意に達したという。過去1年では2025年2月にも20人ほどの「悪質」な利用者を特定し、賠償と誓約の交渉を進めている。



この記事の特徴は、レコード協会と、アダルト系両方を区別しつつ取り上げているところですね(タイトルを見ると、若干その2つをごっちゃにしている印象もありましたが。)。
一方、発信者情報開示請求の大部分を占める成人向けビデオの制作会社は、利用状況によらず網羅的に利用者を特定して請求を行っていると見られる。請求を受けた人の相談や訴訟の代理人を務めた弁護士によれば、相談を受ける事件で損害を請求する権利者側は、ほぼ特定のビデオ制作会社やその関連会社で占められている。定型の文面と請求額を記載した通知書が送達される場合が多い。
利用者が賠償に応じた後にも繰り返し請求が来るケースがあるといい、発信者情報開示請求が増える一因になっている。通知書を受け取った側の代理人を務める弁護士によれば、一部では本人に覚えがない請求が来たり、利用者の特定が難しい店舗や事業所に対して請求が来たりしたケースもある。
このため識者や利用者の相談を受ける弁護士らは、支払いを急がせる文面に動揺せず、安易な示談に注意を呼びかける。同じIPアドレスを使う家族なども含めて利用状況を確認するなど、示談の条件や請求額に妥当性があるかなど慎重な判断を呼びかけている。



ここはめっちゃイイですね



「一方」から始まっていて、両者を明確に区別することが出来ていると思います。



発信者情報開示請求の大部分を占める成人向けビデオの制作会社は、利用状況によらず網羅的に利用者を特定して請求を行っていると見られる。



相談を受ける事件で損害を請求する権利者側は、ほぼ特定のビデオ制作会社やその関連会社で占められている。定型の文面と請求額を記載した通知書が送達される場合が多い。



利用者が賠償に応じた後にも繰り返し請求が来るケースがあるといい、発信者情報開示請求が増える一因になっている。



多分発信者側の法律事務所には2か所聞きに行っている気がします。



やっぱり、取材元の言い回しや情報に相当影響されるようですね。先ほどの(権利者側代理人にヒアリングをしている)読売のやつと比べると相対的には雲泥の差ですね。



権利者側を非難しすぎず、しかしちゃんと読めば問題の生生しさが伝わるような、とても良い内容になっていると思いました。
結論(総評)



いつものことですが結論から行きましょうか!
- プロバイダ「大手5社」だけでも2024年度、前年度の約2・3倍にあたる47万件超(推計)という驚異的な数字
- 「IPアドレスの件数ベースで」という計算方法にはログが見つからないもの、意見照会に進んでいないものなど全てが含まれている可能性が高い。
- 以上を踏まえ、請求を行いたいと考える権利者及び権利者側代理人の双方が増加し、ますます多くの請求がなされるようになる可能性が高い。
- 司法関係者からの注目が急激に高まっており、権利者側が代理人を無視して依頼人に直接連絡をとる行為や、即示談契約、プロバイダの違法行為などが今後問題視される向きが急激に強くなる可能性がある。
- 権利者側代理人のコメントも登場しており、今後は権利者側のマスコミ対応も注目される。
- 請求規模の大きさのみが強調され、権利者側の問題点の指摘がないため、注意。
- トレントの利用者を「投稿者」と呼称するなど用語が不正確で、分かりにくい
- テレサ書式での請求後必ず開示命令の申立てがされるかのように読める記載があり、不適切な印象
件数の多さ
インターネット上の匿名投稿者の個人情報を巡り、ネット接続事業者(プロバイダー)に対する開示請求が急増している。大手5社への請求は2024年度、前年度の約2・3倍にあたる47万件超(推計)に上った。動画をダウンロードすると、同時にその動画がアップロードされる仕組みを持つ特定のファイル共有ソフトの存在が要因で、総務省が慎重な利用を呼びかける事態となっている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260106-GYT1T00276/



プロバイダ5社だけで47万件はヤベェです。
皆さんもご存じのとおり、プロバイダは、弊所が問い合わせを受けた数だけで普通に数十社あるのですが、大手5社だけで47万件は驚異的な数字です。



それだけ大手に集中をしているということでもあるのかな。
大手のプロバイダは、民事事件や刑事事件に協力するというコンプライアンスの姿勢であるのか、ログの保存期間が非公開+長期であるというコンボが多いです。



トレントの請求側からしたら、言い方良くないかもしれないけどボーナスステージですよね。
当職の記事をご覧くださっている方であれば、だいたいどこかも分かると思います。件数は、当職の掲示板をご覧いただくとある程度分かります。



ちなみに、ログ保存期間を非公開にすること自体は違法ではありません。



しかしながら、ログの保存は実務上必要な限度で許容され、これを超える保存は通信の秘密の侵害に該当する可能性があります。



この話は前にTwitterでもしました!
テレサと命令申立について



ここなんですけれども
プロバイダーへの請求は、情報流通プラットフォーム対処法(旧・プロバイダー責任制限法)に基づき、投稿被害を訴える側が、氏名や住所、電話番号など投稿者の情報開示を求める手続き。プロバイダーは請求を受けると、IPアドレス(インターネット上の住所)から投稿者を特定し、個人情報の開示に応じるかどうか意見照会しなくてはならない。投稿者が応じない場合、請求者には裁判を起こすという選択肢もある。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260106-GYT1T00276/



私の肌感覚でも、そしてプロバイダの人に話を聞いてみても、テレサ不同意撃退がその後開示命令申立になっているケースというものは(現状見える限度では)ほぼゼロに近いです(プロバイダの人に訊くと全くのゼロではないそうですが。)。



なんかここはミスリードですね。



テレサに不同意で出しても命令の申立てがあるので意味ないみたいに読めます。



こういうことを言っているのがどこなのかは何となく知っているけれども、私の感覚とは異なります。



権利者側の立場からすると、テレサ不同意のケースについて申し立てをして拾っても、示談まで行けるケースは少ないわけでコスパも悪いとは思います。
一応、テレサで請求をすると事実上そのログは保全されるという点はありますが、結局申立てがされるケースは現状私から見える限度ではゼロです。プロバイダの人に訊いても、全くのゼロではないという程度の回答です。



ちなみに不同意回答をすると弁護士費用を請求してくるプロバイダがありますが、これは許されないものです。



無断で引き落としをするケースがあるようで、このようなケースについては無償で返還請求事件をお受けしますので、お申し付けください(以下のツイートもご参考に。)。
IPアドレスベースとは?



IPアドレスベースというのは専門用語ではないですね。
読売新聞が昨年、このソフトに関する開示請求の件数を大手プロバイダーに尋ねたところ、5社から回答があり、IPアドレスの件数ベースで、23年度は計約20万件だったのに対し、24年度は計47万件を超えたという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260106-GYT1T00276/



多分、テレサと申し立てを全部合わせたうえで



なおかつ、プロバイダは開示請求の要件を満たしていないという理由で意見照会をしないまま不開示にしているケースもあるようだけれども、それも全部込みで



ログが見つからなかったやつ(申立てだと「欠番」になっているもの。)なども全部入れて



それで47万件かなとは思います。
意見聴取義務について
プロバイダーは請求があるたび、利用者に回答の可否を照会し、制作会社側に個々に回答する必要がある。日本インターネットプロバイダー協会の野口尚志理事は「想定しない形で開示請求が激増し、パンク状態だ」と話し、SNSでの名誉 毀損
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260106-GYT1T00276/
やプライバシー侵害の被害者からの開示請求に速やかに応じられないなど、他の実務に影響が出かねないと明かす。



情プラ法6条1項ですね。分かります。
(開示関係役務提供者の義務等)
https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000137/20280613_505AC0000000053#Mp-Ch_3
第六条 開示関係役務提供者は、前条第一項又は第二項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、当該開示の請求に応じるかどうかについて当該発信者の意見(当該開示の請求に応じるべきでない旨の意見である場合には、その理由を含む。)を聴かなければならない。
手数料制度について
丸橋透・明治大教授(情報法)は「制作会社側が著作権侵害を訴えて開示請求すること自体は不当ではないが、SNS中傷などの被害救済が遅れる事態は避けるべきだ」と指摘。「開示請求があまりに大量の場合は、合理的な範囲で手数料を徴収する制度を構築するなど、新たなルール作りを検討する必要がある」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260106-GYT1T00276/



制度論は線引きが難しいですが、今後もこのペースで増えると裁判所とプロバイダの負担は極めて大きくなります。



しかしながら、裁判所やプロバイダの負担を理由に、違法アップロードがお目こぼしされるというのも正当ではないです。正当な権利行使は認められなければならず、救済の道が閉ざされるということはあってはならない。



そもそも、違法ダウンロードの点はともかく、違法アップロードについては過失、損害、因果関係が立証をされていないので、その理由で、発信者が負う責任は制限されるべきなのです。



非常に難しい問題ですが、ここには問題意識が示されております。
私生活の平穏について



実際の事例が記載されています。
実際に示談金を請求されたという大阪府の男性(73)が読売新聞の取材に応じた。昨年3月、妻と暮らす自宅にプロバイダーから「発信者情報開示に係る意見照会書」と書かれた封書が届き、「動画ファイルを無断アップロードした」「氏名や住所などを開示してよいか」との記載があった。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260106-GYT1T00276/



高齢の男性の利用者は多いですね。



この方のように、家族と同居している場合、意見照会書が届くことによるダメージは大きいものになります。



現状、残念ながら、弁護士に依頼をしても意見照会書が届かなくなるとか家族にばれないと言ったことは(プロバイダによりますが)確約できない状況ですので、こういったことを請け負う弁護士には注意が必要です。



権利者からの連絡文は弁護士に一元化できますが、たまにこれを(ごくまれに)無視する権利者がいます。こちらについては、適切な措置を検討しておりますので、ご安心ください。
同様の封書が半年足らずで24通も届き、男性は驚いて弁護士に相談。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260106-GYT1T00276/



すーーーーごい数ですね!



請求額を見ると権利者側はA法律事務所さんのような気がします。



ありほりかな・・・?分からんけど
社会的な認知の広がり



ツイートが380万インプを超えておりまして、めちゃくちゃ見られていますね!



引用リツイートもかなりの数です。



私の肌感覚でも、法曹関係者の関心がどんどん強くなっていることを感じます。
流通する情報量が今後も増加することが見込まれること
認知の広がりについて



この問題を注視する人が増えるのは良いことです。



新しい視点からのコメントが増えることでしょう。



権利者側(相手方)が「よくある質問」を送ってくるのは、やはりほかの弁護士に訊いてもおかしいと言っていますよ。
流通する情報



私が発信をするまで、この分野では、申し立て済みパターンとテレサ書式パターンの違いを発信する法律事務所は皆無でした。



テレサであれば、不同意回答を行うことで、自力でも不開示の傾向であります。



弁護士費用を捻出するのが難しい人にとって、これはすごく重要な情報であると思います。



自力でも一定の対応ができるわけです。



いわゆるインターネット事件を扱っていれば常識の部類に属する事柄ではあります。



今後も、新たな先生が参入することによって、新たな知見がもたらされる可能性はあります。



私自身、研鑽を怠らないようにしたいと思います。
残る問題



ソフトバンクが意見照会書を送らないことは明白に違法行為であります。



他の分野ではこのようなことは見かけない事態でしょう。
権利者側コメント



権利者側も言われっぱなしではなくなってきました。
制作会社側の一部の代理人を務める東京都内の弁護士事務所は、「著作権侵害の被害は深刻で、違法行為を確認した場合は今後も請求を続けていく」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260106-GYT1T00276/
私が以前に申し上げた通りの展開になっています。
考えすぎかもしれませんけど、令和7年8月31日の朝日新聞の件では、高額な示談への警鐘が鳴らされましたよね。
https://torrent-hayakawa.com/2025/12/01/5ch/
別のメディアからしたら、今後同じテーマを取り上げる際に、「一方で・・・・」と前置きしつつ掲示板の住民の素行を表示して、「便所などと中傷する声も」と触れるようにしたうえで、別の専門家に「違法アップロード自体は賠償責任がある」などと述べさせれば、問題に切り込んでいる風が出ているとは思います。









