作 成 : 弁護士法人早河弘毅法律事務所(愛知県弁護士会所属)

有限会社プレステージを権利者とする発信者情報開示にかかる意見照会書が届いた場合の対応について

 有限会社プレステージは、令和5年から引き続き請求件数の多いメーカーとなっています(ケイエムプロデュースと並びます。)。過去の裁判例から、ITJ法律事務所が代理人についていることが判明しております。調査結果の正確性が認められなかったケースもあります。したがって、作品にも覚えがない場合は、「同意する」回答をすることに対して慎重になった方がよさそうです。

目次

最後まで読むと分かること

  • 有限会社プレステージを権利者とする、発信者情報開示請求にかかる意見照会書が届いた場合の対応がわかる
  • 有限会社プレステージを権利者とする裁判例の状況などが分かる。
本記事について
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弁護士早河弘毅

このランク付けは、読み手の便宜のために、私の判断で行っているものです。ご参考にしてください。

意見照会書を確認しよう

 発信者情報開示にかかる意見照会書が届くと、2ページ目に権利者が記載してあることが多いです。そこに「有限会社プレステージ」と書いてないでしょうか。
 なお、後述するとおり、過去の公開の裁判例から、有限会社プレステージが権利者の場合はITJ法律事務所が代理人としてついているので、併せてご確認ください。

どう対応すれば良いのか

回答書を作成して返送しよう

 同封されている回答書を送り返しましょう。「同意する」回答をするか「同意しない」(不同意・拒絶)回答をするかは検討を要します。

回答書をどう書くかについては弁護士に相談しよう

 回答書を「同意する」で書くか「同意しない」で書くかについては、まず、あなたがトレントを使用した覚えがあるかどうか、作品に見覚えがあるかによります。
 そのうえで、回答書の書き方については、以下の記事などをご参考にしてください。

参考記事

有限会社プレステージの請求の状況について

請求の動向について

 令和5年にも多くの請求が確認されており、令和6年になっても、件数が減ってはいません。裁判例上も有限会社プレステージが原告になっているケースは多く見られます。

最近の裁判例について

 令和6年8月8日に言渡しがされた令和5年(ワ)第70645号では、朝日ネットが原告となり、開示を認めた決定対し、異議の訴えを提起し、有限会社プレステージ側が被告となっていました。
 このように、比較的最近の時点でも、有限会社プレステージを当事者とする裁判例が出現しており、請求数の多いメーカーとなっています。

過去の裁判例について

 公開の裁判例で確認できる限度でも、有限会社プレステージの代理人はすべてITJ法律事務所となっています。

 裁判所のサイトで「有限会社プレステージ」と検索することで、発信者情報開示請求事件が21件ヒットしました(令和6年10月14日時点。)。

発信者情報開示請求が棄却された裁判例

 有限会社プレステージは、発信者情報開示請求が棄却された裁判例も過去には多く、以下の裁判例では棄却されています(その後高裁では覆って開示されたものも含みます)。

令和5(ワ)70006  発信者情報開示請求事件  著作権  民事訴訟 令和5年9月21日  東京地方裁判所について

同裁判例では、以下の判示がなされ、裁判所は有限会社プレステージの請求を退けました。

原告の立証内容を改めて精査しても、肝心の再生可能性に係る
立証が足りず、原告の主張内容を改めて検討しても、共同不法行為者間の具
体的行為を特定することなく抽象的に共同不法行為を主張する点を含め、原
告の主張は、プロバイダ責任制限法及び著作権法を正解するものとはいえず、
侵害情報の流通による権利侵害をいうに足りない。

092485_hanrei.pdf (courts.go.jp)

 この裁判例は、令和6年6月26日判決言渡 令和5年(ネ)第10095号 発信者情報開示請求控訴事件によって覆ることになりました。
 しかしながら、控訴審判決は原審の問題意識に正面から応えたものとは言えないように思います。

有限会社プレステージを権利者とする発信者情報開示にかかる意見照会書が届いたら、弁護士早河弘毅にご相談ください

 有限会社プレステージは、件数が多く、トレント事件を扱っている弁護士なら名前を聞いたことがないということはまずありえないと思います。意見照会書が届いた場合はご相談ください。

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この記事を書いた人

愛知県弁護士会所属弁護士(登録番号は60208)。
大学入学後半年間の学習で1年生の秋に行政書士合格。
愛知大学法学部卒。名古屋大学法科大学院卒。
弁護士登録後2年10か月で早期独立開業し、令和5年9月1日に「早河弘毅法律事務所」を創設。
創設後、持ち前の労働事件、刑事事件、インターネット事件の処理を中心に売り上げを堅調に伸ばし、令和6年4月に法人化、「弁護士法人早河弘毅法律事務所」の所長となる。
1991年12月23日生まれ。
依頼人に寄り添う弁護士、不安からお守りできる弁護士になりたいと思っているが、それは基礎となる法的素養が盤石であることが前提であって、単なる巧言令色を意味しない。早いレスポンスと丁寧な説明が売り。

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