すぐに示談(早期示談)をするのがお勧めできない理由。メリットとデメリットに分けたうえで、トレント事件を注力して扱う弁護士が解説します。

トレント事件の「早期示談」「早期解決」について
トレント事件を扱う弁護士のサイトでは、「1日で解決したケースもある」「早期に示談をする」という主張を行っているケースがあります。
基本的に、意見照会書が届いた時点で、発信者の不安は最高潮に達しており、心にも大きな負担がかかっています。すぐに解決できるというフレーズは相当魅力的に移ります。
しかし、本当に「早期解決」できるのでしょうか?また、それが適切なのでしょうか?本稿で解説していきます。

最後まで読むと分かること
- 早期示談を行うと、払わなくてよい示談金を支払うことになるリスクがある。
- 権利者側が積極的に訴訟提起や刑事告訴をしていることがうかがわれる状況ではないので、示談を「急ぐ」必要は通常大きくないと思われる。ただし無視は厳禁。
- 早期示談(とりわけ一日での成立)では、弁護士の仕事内容を慎重に吟味すべき。1日でで行えるやり取りは限られており、自力で行うのと変わらない可能性もある。

このランク付けは、読み手の便宜のために、私の判断で行っているものです。ご参考にしてください。
- 当職による説明を早く確実に受けたい方にはライン友達追加がお勧め。
- 友達追加後、自動質問とフォームが直ちに送られますのでご入力をお願いします。
- 当職の作成した非公開動画を用いてご説明のうえ、当職から直接、あなたの個別事情をもとにアドバイスしています。
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トレント事件で示談を「急ぐ」メリットについての検証


ひとまず考えられる3つのメリット
示談すること自体のメリットというより「急ぐ」必要性ということであれば、以下の3つが考えられるでしょう(しかし、結論から言うと、これらのメリットは現状ほぼないと私は考えていますので、その点後述します。)。
- 急がないと民事訴訟を起こされるので早期に示談をする。
- 急がないと刑事告訴され逮捕されるので早期に示談をする。
- 精神的な負担を解消する。
あと考えられるとすれば、「時間をかける意味もないのではないか」というものですが、これは結論から申し上げますと、ログの保存期間まで待機するメリットはありますので、後述します。
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ログの保存期間まで待機するメリットはこちらで解説しています。


急がないと民事訴訟を起こされるので早期に示談をする。という点について
AVメーカー等の権利会社側は、現状、積極的に訴訟提起を行っている状況ではないと考えられること。
まず、結論から申し上げますと、AVメーカー等の権利会社側は現状、積極的に訴訟提起を行っている状況ではありません。
実際上、AVメーカー等の権利会社側からしても、示談をして示談金を回収できる方法のほうが、所要時間や業務量といったコストを考えても優れています。積極的に訴訟を行うインセンティブは必ずしも高くありません。
裁判例の状況から言えること
現状、AVメーカー等の権利会社側から損害賠償請求訴訟を起こしたケースは、公開されている裁判例上では確認できておりません。もちろん、民事訴訟を提起しているとは思われますが、判決までいったうえで公開されているものがないのです。
積極的に民事訴訟を行っているのであれば、なかなか考えにくいことではあります。
AVメーカー等の権利会社側のHPから確認できること
AVメーカー等の権利会社側の法律事務所によりますが、現状最も取扱件数の多いITJ法律事務所では、民事訴訟について、令和5年8月23日時点で、以下のとおりコメントしています。
インターネット上で民事訴訟は提起されないという情報があるようですが、そのようなことはありません。和解が成立しない場合に、現在数件民事訴訟を提起しており、今後も訴訟提起を進めていく予定です。
ビットトレントで発信者情報開示請求を受けた場合に、弁護士に依頼すべきか|ITJ法律事務所
「現在数件」というのは、多数の事件を取り扱っていることに比べると少ないように思われます。もとより、この記事では、和解を促すために積極的に民事訴訟を提起しているということを言いたいところです。数件という表現はトーンとしては弱い印象を受けます。
小括
以上からすると、民事訴訟を積極的に提起しているわけではないように思われます。
Q&A
- なぜ示談をする方法がAVメーカー等の権利会社側にとってメリットがあるのか
-
訴訟を提起すると弁護士費用と時間がかかるためです
- そうすると、民事訴訟を起こすことはないと考えてよいか。
-
民事訴訟を起こしてはいると考えるべきです。上記のITJ法律事務所のサイトでも、民事訴訟を起こしていると書いてあります。
- 裁判例についてもう少し詳しく教えて欲しい
-
このサイトで「トレント」と検索すれば出てきますが、損害賠償請求額について参考にできるのは、現在、債務不存在確認請求訴訟の裁判例が3件(うち1件が控訴審)のみであり、他は発信者情報開示請求事件です。
- 民事訴訟を起こされた場合は和解はできなくなるのか
-
AVメーカー等の権利会社側の対応によりますが、ITJ法律事務所はそのような和解の余地を残すコメントを公開しています。
訴訟提起後も訴訟前と金額は異なりますが和解は可能ですので、裁判を担当しているご自身の弁護士にご相談ください。なお、依頼中の弁護士がいる場合には、その弁護士への委任を解除しない限り、当事務所はその弁護士を通じてしか和解することはできません。
ビットトレントで発信者情報開示請求を受けた場合に、弁護士に依頼すべきか|ITJ法律事務所「なお」以下の趣旨は一見して分かりにくいものではあります。
- 意見照会書には2週間以内に回答して下さいとあるが、この2週間を待たずに民事訴訟を起こされてしまうことはあるのか。
-
ありません。民事訴訟を起こすためには相手方の住所と氏名が必要ですが、この段階ではAVメーカー等の権利会社側にあなたの住所氏名は伝わっていません。
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急がないと刑事告訴され逮捕されるので早期に示談をする。という点について


AVメーカー等の権利会社側は、現状、積極的に刑事告訴を行っている状況ではないと考えられること
結論から申し上げますと、刑事告訴についても、積極的に行っている状況ではないと原状考えられます(今後変わる可能性はあります。)。
ITJ法律事務所のnote上の発信状況
「今後随時」とのことであり、民事訴訟以上に、まだ積極的に行っていないように見えます。
また、刑事告訴も警察に相談しており、今後随時行っていきます。
ビットトレントで発信者情報開示請求を受けた場合に、弁護士に依頼すべきか|ITJ法律事務所
当職の受任事件のご対応状況について
当職が受任している事件について、交渉保留中に逮捕されたケースはありません。
当職のご相談の対応状況について
現在、当職のもとにお越しいただいた相談者様で、取り調べを受けたという方はお見えになりません。
報道の状況について
トレントは多数の利用者がおり、意見照会書が届いていますが、報道数は限られております。
AVメーカー等の権利会社側のスタンスについて
示談金の回収に重点を置くのであれば、刑事告訴を行う必要は高くありません。作品に対する個人的な思い入れの強い個人のクリエーターとはこの点異なるとも言い得ます。
故意犯であること
著作権侵害の故意を立証する必要があり、この点はハードルになり得ます。
小 括
急いで示談をしないと刑事告訴がされるというまでの状況とはいい難いように思われます。
Q&A
- 刑事告訴されると必ず逮捕されるのか
-
逮捕されないまま進むこともあります。これを在宅事件と言います。
- 刑事告訴は行われていないということか
-
そういうことではありません。報道されている以外の事件が存在する可能性はあります。しかしながら、当職から見えている範囲では、報道の件以外で、刑事事件化したケースの相談を受けたことはないです。
- 刑事告訴をされてからでも示談はできるか
-
刑事告訴をされてからでも示談は可能です。
- 意見照会書には2週間以内に返答してくださいとあるが、この2週間を待たずに刑事告訴をされてしまうことはあるか。
-
通常ありません(刑事告訴は、氏名が分かっていない段階でも、「氏名不詳者」として刑事告訴を行うことはできます。)
心理的なメリット


ログの保存期間までは別の請求が飛んでくる可能性があります。
複数作品・複数社の請求が今後もありうるため、目の前にある件だけを示談することは解決にはなりません。そのような解決は、言ってしまえば見せかけのものです。それによって得られた安心は、2通目の意見照会書が届いたときには失われます。
「解決」とはどういう状態なのか落ち着いて考えることを強くお勧めします。
急いで終わりにしたい気持ちは痛いほどよくわかります。そのような方法があるなら、私も採用しています。しかし、ここは一度冷静になって考える必要があります。そうご案内せざるを得ません。むしろ、今ここで少しでも楽になるためには、知識を得て状況を少しでも正しく理解することです。弁護士と話すことで落ち着くこともありますよ。


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トレント事件の示談を急いでしまったことによるデメリット


200万円程度損をすることもあります
当職から見える限度でも、よくあるのが、違法アップロードをした確証の無い場合で、なおかつ、権利者が裁判所に申立をしていないパターンについて、示談を2~3件してしまったケースです。2件やってしまうと、示談金だけで154万円かかってしまいますので、弁護士費用をプラスすると200万円程度負担がかかります。このケースが複数確認されています。非常にもったいないことです。申立の無いパターンについては、現状は、不開示を目指すことが十分可能です。
申立済みパターンか否かは、聞いていただいた方が良いです。ただし、どちらのパターンであるか区別をせず漫然と対応している事務所もあります。よろしければ、当職にご相談ください。
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個別和解か、包括和解かを選ぶことができない
基本的に、ログの保存期間を待機しないということであれば、個別和解は心理的にとり得ないと思います。ですので、77万円を支払わざるを得ません。
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想定より請求が大きくなってしまった
2社までであれば払うつもりでいたが、3社届いてしまった場合、1社ずつ支払ってしまうと、既に154万円を失っていたということにもなりかねません。
精神的に不安定な状況の中で判断してしまった
意見照会書到着直後に、冷静でいるのは難しいことです。この段階で示談をすべきであったのか、後で後悔しないようにしましょう。
早期示談を弁護士に依頼する必要性はある?


弁護士に依頼したとしても、示談金のテーブルそのものは変わりません。この点は別記事で丁寧にご説明しております。ご参考になれば幸いです。
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当職にもぜひご相談ください
当職は、裁判外手続きパターン(テレサ書式パターン)であれば、同意しない回答(不同意回答・開示拒否回答)を作成して不開示にした実績があるほか、ログの保存期間まで交渉保留をすることで顧客にベネフィットをもたらし、さらに裁判の対応もケアしています。トレント問題については情熱的に取り組んでいます。是非ご相談ください。
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